有価証券報告書や四半期報告書といった企業の開示書類は、金融庁の電子開示システム「EDINET」で公開されている。これらを1件ずつ画面からダウンロードするのではなく、プログラムでまとめて取得したいときに使えるのが「EDINET API」である。仕様書によれば、EDINET APIは「利用者がEDINETの画面からではなく、プログラムを介してEDINETのデータベースから効率的にデータを取得できるAPI」と定義されている1。
本記事では、EDINET API仕様書(Version 2、2026年6月、金融庁 企画市場局 企業開示課)1 をもとに、開示書類を取得するための基本的な流れを整理する。数百社の開示を横断的に集める、特定企業の報告書を継続的に追う、といった用途の出発点になる内容である。
EDINETが提供する2つのAPI
EDINETは2つのAPIを提供している1。1つは「書類一覧API」で、EDINETに提出された書類の一覧を日付ごとに取得する。もう1つは「書類取得API」で、一覧で見つけた書類の実ファイルを取得する。仕様書では書類取得APIについて「リクエストパラメータにより取得する書類の種類を指定することが可能」と説明されている1。
基本的な利用の流れは、まず書類一覧APIでメタデータ(その日の提出件数など)を取得し、件数が前回から増えているかを確認したうえで提出書類一覧を取得し、必要な書類を選んで書類取得APIで実ファイルを取る、という順序になる1。「いつ・どの会社が・何を出したか」を一覧で把握してから、目的の書類だけを取りに行く二段構えと考えると分かりやすい。
取得できる書類と期間
EDINET APIは「縦覧期間及び延長期間にある書類」を取得対象とする1。有価証券報告書は縦覧5年に延長5年を加えた閲覧期間10年、半期報告書も同じく10年、四半期報告書は縦覧3年に延長7年を加えた10年と定められている1。
システム更改の経緯から、取得できる対象には開始時点がある。仕様書には、2013年1月4日以降に提出された有価証券報告書(およびその訂正報告書)、2015年4月1日以降の四半期報告書、2021年1月4日以降の臨時報告書が取得可能と記載されている。ただし、すでに10年を経過した書類は取得できない点に留意したい1。
準備:アカウント作成とAPIキー
EDINET APIへの接続には認証が必要である。仕様書は「EDINET APIへの接続の際には、EDINETから発行されたキー(以下「APIキー」という。)を使用した認証を行います。APIキーの取得に際しては、アカウントの作成が必要となります」としている1。
アカウントは、EDINETの閲覧サイト4 に接続し、「ログイン」ボタンからサインイン画面を表示して作成する1。発行されたAPIキーは、後述のリクエストで Subscription-Key パラメータとして付与する。
書類一覧APIで「その日の提出書類」を知る
書類一覧APIはGETメソッドで呼び出す。リクエストURLは次の形式である1。
https://api.edinet-fsa.go.jp/api/v2/documents.json?date=ファイル日付&type=取得情報&Subscription-Key=APIキー
エンドポイントのバージョンは「v + 整数」で表記し、Version 2に対応するため v2 を指定する1。主なパラメータは3つである1。date は出力対象とする提出書類一覧のファイル日付で、YYYY-MM-DD 形式の必須項目。当日以前で、直近の財務局営業日の24時において10年を経過していない日を指定でき、土日祝日も指定できる1。type は取得情報で、1 がメタデータのみ(指定が無い場合のデフォルト)、2 が提出書類一覧およびメタデータを返す1。Subscription-Key は認証用のAPIキーで必須である1。
たとえば2023年4月1日分の提出書類一覧を取得するリクエストは、仕様書のサンプルでは次のように示されている1。
https://api.edinet-fsa.go.jp/api/v2/documents.json?date=2023-04-01&type=2&Subscription-Key=ZZZ…ZZZ
レスポンスは文字コードがUTF-8のJSON形式で、日付・時刻の項目は日本時間で出力される1。提出書類一覧の各レコードには、書類の説明(docDescription)のほか、XBRL・PDF・CSV・英文ファイルなどの有無を示すフラグ(xbrlFlag、pdfFlag、csvFlag、englishDocFlag など)が含まれ、どの形式が取得できるかを事前に判断できる1。
書類取得APIで実ファイルを取る
目的の書類が分かったら、書類取得APIでファイル本体を取得する。エンドポイントは次の形式で、末尾に「書類管理番号」を指定する1。
https://api.edinet-fsa.go.jp/api/v2/documents/書類管理番号?type=必要書類&Subscription-Key=APIキー
書類管理番号は書類一覧APIで取得した提出書類一覧に基づく値で、開示対象外の書類は取得できない1。type(必要書類)には取得したいファイルの種類を指定する。仕様書では次の5種類が定義されている1。
| type | 取得内容 | ファイル形式 |
|---|---|---|
| 1 | 提出本文書及び監査報告書(XBRLを含む) | ZIP形式 |
| 2 | PDF形式 | |
| 3 | 代替書面・添付文書 | ZIP形式 |
| 4 | 英文ファイル | ZIP形式 |
| 5 | CSV | ZIP形式 |
たとえば書類管理番号が S1234567 の提出本文書および監査報告書を取得するリクエストは、サンプルでは次のように示されている1。
https://api.edinet-fsa.go.jp/api/v2/documents/S1234567?type=1&Subscription-Key=ZZZ…ZZZ
レスポンスは指定書類のバイナリデータで、任意のファイルに書き出して保存する。取得に成功した場合のContent-Typeは、ZIP形式なら application/octet-stream、PDF形式なら application/pdf となり、取得に失敗した場合は application/json; charset=utf-8 が返る1。type=1 のZIPを展開すると、提出本文書を格納する「PublicDoc」、監査報告書の「AuditDoc」、機械可読なデータを含む「XBRL」フォルダなどが含まれる1。財務数値を構造化して扱いたい場合は、このXBRL、または type=5 のCSVが起点になる。
利用上の注意
EDINET APIはクロスドメインの通信を許可しておらず、ブラウザ上で動作するスクリプト(JavaScriptなど)からの通信は行えない1。取得処理はサーバーサイドのプログラムから実行する設計と考えればよい。通信はTLS1.2以上で暗号化される1。また、仕様書の内容は2026年6月現在のもので予告なく変更される可能性があるとされており1、取得した情報の利用にあたっては利用規約3 を確認しておきたい。
EDINET APIで取得できるのは「素材」としての開示データである。ここから複数社・複数年度を横断して集計し、セグメント利益や設備投資の推移を図表にしていくと、個別の報告書を1件ずつ読むだけでは見えにくい産業全体の動きが浮かび上がる。当サイトでは、開示のセグメント情報を使った業種別の横断分析シリーズを公開している。
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Sources
- EDINET API仕様書(Version 2) - 金融庁 企画市場局 企業開示課(2026年6月)
- EDINET API関連資料 - 金融庁・EDINET(仕様書・コードリストのダウンロードページ)
- EDINET 利用規約 - 金融庁・EDINET
- EDINET 閲覧サイト - 金融庁・EDINET(アカウント作成・APIキー発行の入口)